「本人確認はどうやるの?」
「100円で買い取る場合でもやらないといけない?」
古物商は、古物の買い受けなどを行う際に相手方の確認をしなければなりません。
これは、盗品等の市場への流入を防止するという古物営業法の目的を達成するために課された重要な義務になりますので、確認の方法について正しく理解し、適切に履行しましょう。
この重要な本人確認について「どのような場合に」「どのような方法で」「何を確認しなければならないか」を元市役所職員の行政書士が、分かりやすく解説します。
本人確認が必要な場合
古物商は、以下の取引を行う際に、相手方の真偽を確認する必要があると定められています。
確認が必要な場合
- 古物を買い受ける場合
- 古物を交換する場合
- 古物の売却又は交換の委託を受ける場合
相手方の確認は、形式的に行えばいいというものではなく、相手の態度、仕草から取引する商品の性質、数、状態などを考慮して、相手方の真偽を確認するために行います。
確認義務の例外
次の場合については、確認などの義務がなくなります。
- 対価の総額(買取価格)が1万円未満の取引をするとき(※国家公安委員会規則で定める一定の古物を除く)
- 自己が売却した品を再度売却した相手から買い受ける場合
➀については、特に盗品などの流入を防止する必要がある品を除いて、本人確認義務を免除することとしています。
※1万円未満でも本人確認が必要な古物
- 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
- エアコンの室外機
- 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物(ゲームソフト等)
- 光学的方法により音又は映像を記録した物(CD、DVDなど)
- 電線
- グレーチング(金属製のものに限る。)
- 書籍
対面取引での本人確認方法
お店の窓口や出張買取など、お客様と直接顔を合わせる「対面取引」における本人確認は、原則として以下の手順で行います。
確認すべき4つの基本情報
買取時には、取引相手の以下の4項目を必ず確認しなければなりません。
- 氏名
- 住所
- 職業
- 年齢
➀身分証明書の提示を受ける方法
この方法は、相手方を確認する方法としてもっとも一般的な方法です。注意すべき点は、職業の確認をしなければならないことです。また、職業の確認は、「会社員」などでは不十分です。勤め先や屋号の確認をしてください。
以下、本人確認書類の例です。
- 運転免許証 / 運転経歴証明書
- マイナンバーカード(個人番号カードの表面のみ)
- 在留カード / 特別永住者証明書
- パスポート
- 健康保険証
➁住所などが記載された文書へ署名させる方法
住所、氏名、職業及び年齢が記載され、古物商などの面前で署名をさせた文書を提出させる方法になります。
署名は古物商などの面前においてなされなければならず、あらかじめ署名してある文書の交付を受けても確認をしたことにはなりません。
この方法においても、仮に住所などの記載に迷うそぶりがあるなど不審な点があれば、➀の本人確認書類の提示を求めるなどして払しょくしなければ、確認したと言えないので、注意が必要です。
③面前でタッチペンで署名
相手方から住所などの申出を受けるとともに、古物商等の面前において、電子タブレット等に相手方の氏名を筆記させる方法です。
この方法は、「器具を使用して」筆記させることが必要なので、指でなぞって書くことは認められず、「スタイラスペン」や「タッチペン」を使用する必要があります。
また、マウスをなぞっての記名やキーボード、音声認識ソフトを使用しての入力は、「筆記」に当たらず、認められません。
非対面取引(ネットなど)での本人確認
インターネットや郵送、宅配便を利用して買い取りを行う「非対面取引」では、なりすましや偽造のリスクが高まるため、確認方法が定められています。
単に「運転免許証のコピーや画像をメールなどで送ってもらう」だけでは、古物営業法上の本人確認を満たさず、確認義務違反となってしまいます。
非対面での確認方法
1. 住民票の写し(原本)の送付 + 本人名義口座への振り込み
- 「住民票の写し(原本)」の送付を受けます。
- 買い取り代金を、その住民票に記載された氏名と同一名義の銀行口座へ振り込みます。
2. 身分証明書のコピー送付 + 転送不要郵便の送付 + 本人名義口座への振り込み
- 運転免許証などのコピーを受け取ります。
- 記載された住所宛てに、転送されない取扱いで郵便物(簡易書留など)を送付し、到達したことを確認します。
- その上で、本人名義の口座に代金を振り込みます。
3. 本人限定受取郵便(現金書留)による代金送付
- 郵便局員が受取時に本人確認書類を確認して手渡す「本人限定受取郵便」を利用し、買い取り代金(現金書留)を送付します。
4. eKYC(オンライン本人確認)の活用
- 専用のソフトウェアを使用し、スマホのカメラでマイナンバーカードや免許証の厚み・顔写真を撮影・送信させ、本人の容貌写真とリアルタイムで照合します(厚みの確認やライブネス判定などにより偽造を防止します)。
- マイナンバーカードのICチップ読み取り(JPKI:公的個人認証サービス)を活用する手法も広がっています。
非対面取引を行う場合は、自社の買取システムがこれらの法定基準のいずれかに合致しているかを必ず事前に確認する必要があります。
貴金属等の取引における注意点
金・プラチナなどの貴金属や高額品を取扱う場合、古物営業法だけでなく「犯罪収益移転防止法」や「金属くず」に関する関係法令・条例による厳格な確認が求められる場合があります。扱う商品のジャンルに応じた関係法令の把握が欠かせません。
罰則
もし本人確認を適切に行わなかった場合、古物商にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。
1. 刑事罰と行政処分
本人確認義務違反(古物営業法第15条違反)が発覚した場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」などの罰則が科される可能性があります。また、公安委員会による指示処分や、一定期間の営業停止命令、古物商許可の取り消し処分を受けることになります。
⒉両罰規定
古物営業法38条の「両罰規定」により、法人の従業員等が違反行為をした場合に、法人・代表者に対しても併せて罰金刑が科される可能性がありますので、社内での教育も重要になります。
Q&A
- 本人の署名は、なぜ「面前」でしないといけないのか
署名は、署名をした人を特定することが重要であり、面前でなされた署名でなければ、誰の署名か分からず、特定ができないからです。
- 「対価の総額」とは、どのように求めるのか
対価の総額は、取引物の単価ではなく、一度の取引の古物すべての総額をいいます。
- 古物を売却するときにも本人確認は必要ですか
売却のみであれば、本人確認義務はありません。
- 1万円未満のものを買取した場合には、全て確認義務は免除されますか
対価の総額が1万円未満の取引は、原則として確認義務が免除されますが、ゲームソフト、自動二輪車及び原付、書籍、CD及びDVD等の場合には1万円未満でも確認義務があります。
まとめ
「ネット買取を新しく始めたいが、本人確認方法が法律に違反していないか不安だ」
「古物商の許可を取得したものの、日々の台帳管理や身分確認の具体的なやり方に自信がない」
「特定の品目を扱うにあたり、必要な手続や注意点を知りたい」
このようなお悩みやご不安をお持ちの方は、ぜひ一度、千葉県松戸市の行政書士 浅田響樹 事務所までご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。
